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コントロールプレミアムと非流動性ディスカウント

コラム初投稿いたします。初投稿のため、Valuationや事業再生に関する総論なども考えましたが、ブラックキャピタルとして活動していく中での、実務上の論点について個人的見解をまとめていく投稿を中心に、教科書的な話や時事的な話も含めて発信していくこととしました。

今回記載するのは、コントロールプレミアム(支配権プレミアム、CP:Control Premium)と非流動性ディスカウント(DLOM:Discounts for Lack of Marketability)の適用についてとなります。

CPとは、経営権の獲得を伴う株式の取得を行う場合における、通常の取引価格に加えて考慮されるプレミアムとなります。
DLOMとは、非上場株式の取引成立の費用や困難性を評価に反映させるためのディスカウントとなります。

まず、これらの一般的な考え方については次の表が一般的な理解と考えています。
①すなわち事業から発生するCFを前提に計算されたDCFにおいては、流動・支配権ベースの価値が算定されるので、非上場会社の評価にあたってはDLOMを考慮します。
②一方で、類似会社比準方式においては、流動・少数株主ベースの価値が算定されるため、非上場会社の評価にあたってはDLOM・CPを考慮することとなります。

今回記載するのは、非上場である対象会社の発行済株式全てを取得する案件において、DLOMを考慮するかに関する論点となります。

この点、まず非上場企業の株式は上場企業の株式と比較して流動性が低く、売却先候補を探したり価格交渉を行うコストが発生するという考え方が前提となります。
そのため、発行済株式の全てを取得するように、支配権を獲得する取引においては、非上場株式であっても将来の売却ハードルは低いものと考えられます。
そう考えるとDLOMの考え方とは異なるため、ディスカウントは考慮しないことが理論的に考えられます。
また、個人的にも発行済株式の全てを取得する取引において、DLOMを考慮した事例はあまりみたことがありません。
なお、少しバリュエーション実務とは違う会計基準の考え方にはなるものの、対象会社を取得する企業が子会社株式としてBSに計上(売却予定なし)されることを前提に考えれば、将来売却しないとも考えられるので、非上場株式の売却の困難性に起因するコストを評価に反映しないことは、会計処理とも整合する考え方だと認識しています。

以上となります。
非上場企業であれば必ずしも非流動性ディスカウントを考慮するというわけではないというのが今回記載したかった内容となります。

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